介護保険制度について

介護従業者処遇状況調査結果から見る介護職の処遇改善状況

介護職の給与額は、平成29年と比べると平成30年は1万円増!!!

平成31年4月10日に実施された介護給付費分科会-介護事業経営調査委員会の資料によりますと、介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している施設・事業所における介護職員(月給・常勤の者)の平均給与額は、平成29年と平成30年を比較すると、10,850円の増となっている模様です。

同じ厚生労働省が発表している、「平成 29 年賃金構造基本統計調査の概況」によりますと、1年ずれているデータではありますが、平成28年の全産業平均の給与額が304万円、平成29年が304.3万円。
年間でたった3000円しか増えていない状況と比べると、介護職の”処遇改善状況”は、まあそんなに悪くもないのかもしれないですね。

同調査では、福祉施設で働く介護員の平均年収は40.8歳で330万円となっています。

単純に数字だけを比較すると、「介護職員の給与が低いとは一概に言えないのでは」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、施設の場合は、夜勤が月に4回ほどあり、日曜日や祝日の当番もあります。
また、人と人とが接するサービスであるため、肉体的、精神的なハードさは大変なもの。その割には給与が見合っているとは言えないのではないでしょうか。

これに加え、最近の政府の施策で、介護職の処遇改善のために、介護保険で加算を行っている状況ですので、加算を導入する前の”給与額の低さ”が却って浮き彫りになる数字だと思います。
介護職員の更なる処遇改善施策が待たれるところですね。

1万円増加しているのは、処遇改善加算を行っている事業者の平均

資料の中で注目いただきたいのが、この10,850円の増加は「介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している施設・事業所における介護職員」であるということ。

処遇改善加算を導入していない事業所の給与額は入っていないということです。
ちなみに同資料によりますと、処遇改善加算を導入している事業所は、処遇改善加算Ⅰの導入事業所で69.3%、Ⅱで11.6%、Ⅲで9.1%、Ⅳで0.4%、Ⅴで0.6%。取得していない事業所がまだ8.9%もあります。

取得しない事業所の取得しない理由が、「事務作業が煩雑」:53.2%、「利用者負担の発生」:33.1%、「対象の制約のため」:25.8%となっており、事務作業の煩雑さのために、処遇改善加算を取得していないというのも残念な結果ですね。

うん?1万円/月?なんでだろうか?

給与等の引き上げの実施方法としては、給与表を改定して賃金 水準を引き上げ(予定)が21.1%、定期昇給を実施(予定)が69.9%、手当の引き上げ ・新設(予定)が31.3%、賞与等の引き上げ ・新設(予定)が16.0%のようです。

でもよく考えてみると、この数字は介護職の給与額。
一番高く加算が取れる処遇改善加算Ⅰを導入している事業所がほぼ7割。
加算Ⅰで月額37,000円、最低の加算Ⅴでも12,000円相当が事業者に支払われます。

厚生労働省の「「介護職員処遇改善加算」のご案内」によると、処遇改善導入の目的が、介護職員の安定的な処遇改善を図るための環境整備とともに、介護職員の賃金改善に充てることを目的としたもの。
更に、加算を取得した事業者は、加算の算定額に相当する賃金改善を実施する必要があるはずです。

数字の取り方が、調査対象となった施設・事業所に平成29年と平成30年ともに在籍している者の平均給与額を比較していることということなので、処遇改善加算支払額の実数値が反映されていないのかもしれませんが、処遇改善加算額と給与上昇額を比較すると、少し少ないような気がします。

また、詳細資料によると、給与等の引き上げ以外の処遇改善状況をみると、
・資質の向上では、「介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修等の受講支援」の実施率が高くなっている。 ・労働環境・処遇の改善では、「事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成による責任の 所在の明確化」や「ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の 介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善」の実施率が高くなっています。

その他、事業所内保育施設の導入やICT化による業務効率化、介護ロボットの導入、健康診断・こころの健康等の健康管理面の強化、 職員休憩室・分煙スペース等の整備等、各事業所様々な取組が行われていると発表されています。

皆さんが勤務されている事業所はどんな施策が行われているのでしょうか。
自身の給与額や、事業所の職場環境をよく観察し、自身が勤務されている事業所の経営者の姿勢をじっくり考えてみる必要があるかもしれませんね。

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