介護の仕事をしている人だからこそ悩む親の介護について
介護の仕事をしているだけなのに…
親の介護が必要になったら、だれでも戸惑いを感じてしまいますよね。
それは、介護の仕事に携わっている人でも同じ。
そして、普段の生活があり仕事を抱える中で、新たに自身の親類の介護を行う生活を送っていかなければならないのも共通していえることです。
でも、周囲からは「介護の仕事をしているから親の介護も安心よね」といった声が自然と集まります。
「介護の仕事してるから任せるよ」といった兄弟姉妹も多いのではないですか。
それに応じるように介護を引き受けた結果、さまざまな悩みが出てくるようです。
今回は私自身の部下の介護職だった女性が親の介護を一手にひきうけてしまったために経験した様々な悩みを紹介していきます。
うまくいかないのは、親子だから
誰だって、変わってしまった親の姿は簡単に受け入れられるものではありませんね。
そんな中、その方の親御さんは認知症も伴っていたためか、娘である自分に親自身が無理なことばかり言ってきたり、強く当たったりしてきたそうです。
自分の旦那さんが、通院介助をした時には「ありがとう。ありがとう。」と感謝しきりだったのに、身体介助をする自分には強く当たられる。
「あんた私がいない方がいいと思ってるやろ。」
「息子の〇〇が来ないのは、あんたが財産欲しいから黙ってるのちがう。」
こんなことを言われ続けたそうです。
仕事柄、病気(認知症)だから・・・。と頭では理解できていても・・・。
不満と不安が胸中うずまいていたようです。
仕事であれば抑えられる感情も、自身の親に対しては表に出てしまい、普段の自分を保つことが難しくなってきますよね。
責任感が強い彼女は、「こんなはずじゃなかった…と思いつめたり、必要以上に自分を責めたりしてしまった」そうです。
ハードな仕事に分類される介護職も、仕事であれば。職場を出れば仕事は終わり。
ですが、そこからまた親の介護が休みなく続くのです。
介護の技術や知識を持っている分、日々のケアは問題なくこなせるかもしれません。
ですが職場と違い、親の介護は自分が判断し旦那さんや子供にたのまなくてはならない場面が多く、プロだからこそ、少しの見落としが後悔へとつながり、自分を責めてしまうことにつながったりしたようです。
結局、彼女は一生懸命家族で介護に取組んだものの、自分自身を責めるあまり精神的にまいりかけたそうです。
その時旦那さんが、「よく頑張ったね。もういいんじゃないか。」と言ってくれたおかげで、結局お母さんを特別養護老人ホームに入所させることで親の介護から開放されました。
いまは元の彼女に戻り、介護現場で笑顔を振りまいて働いています。
プロがプロの力を積極的に利用することへの周囲の理解
介護を担う立場とはいえ、普段の生活は守らなくてはなりません。
周囲の期待があったとしても、実際には親の介護が困難な場合もあります。
親の介護を自分の手で行いたいと願う介護職員は多くおられるでしょう。
年配者は特にではないでしょうか。
そんな場合でも、すべてを一手に引き受けることはなるべく避けていきたいところです。
プロもプロのサービスを利用する権利があります。
親子がお互いに快適な介護生活を送れるよう、制度やサービスの知識を生かしながら周囲と相談して進めていくこと。
家族や周囲も逃げ場を作ってあげることが重要です。
仕事と親の介護は別物です。
介護職の皆様も、自身の肉親を介護する場合は、家族や親類、施設に頼ることも重要ですよね。