相続・終活の事前準備

相続時精算課税制度の注意点

相続時精算課税制度とは

 相続時精算課税制度とは、祖父母や父母(60歳以上)などから子や孫(20歳以上)に財産を生前に贈与されたときに税金をかけずに、将来、相続時に生前贈与分を含めたすべての財産に相続税をかける制度です。
いわば贈与と相続の一体化措置といえます。
この相続時精算課税制度、上手く使えば節税になりますが、場合によってはデメリットになることもあります。
 

相続時精算課税制度を利用した場合の一例

(例)60歳以上の親から収益物件である賃貸用マンション(建物評価500万円、土地2,000万円)の贈与を受けた場合
 
相続時精算課税制度2,500万円控除適用により、贈与税はかかりません。

ただし、贈与を受けた子、孫は以下のような費用がかかることになります。
 
①  不動産取得税
売買・贈与で不動産を取得したとき、また新築・増築したときに都道府県が課税する地方税です。

(計算方法)
  建物の税額 = 固定資産税評価額 × 3%(※平成33年3月31日まで)
  土地の税額 = 固定資産税評価額 × 1/2 × 3%(※平成33年3月31日まで)
 
上記例で計算すると
建物 500万円 × 3% + 土地 2,000万円 × 1/2 × 3% = 45万円
となります。
ちなみに土地・建物を相続した場合は0円、贈与の方が45万円費用がかかります。
 
②  登録免許税(登記費用等)
土地や建物を建築したり購入したりしたときは、所有権保存登記や移転登記等をします。この登記をする際にかかる税金が登録免許税です。

(計算方法)
  税額 = 固定資産税評価額 × 20 / 1,000  ※贈与の場合
 
上記例で計算すると、税額は土地・建物 2,500万円 × 2% = 50万円
となります。
ちなみに、土地・建物を相続した場合にかかる登録免許税は10万円と、贈与の1/5となるのです。また、登録免許税以外に、登記費用として司法書士の報酬や財産評価や贈与税申告を税理士に依頼した場合に税理士報酬もかかってきます。

相続時精算課税制度を利用する際は、総合的な判断が必要

 このように、相続時精算課税制度を利用して贈与税がかからなかったとしても、最終的に相続時精算課税制度を利用した場合の方が費用がかかることもあります。
ただし、今回のように賃貸物件を子や孫に贈与をしておけば、毎月の家賃収入は贈与を受けた子や孫の財産になるので相続税の対象にはなりません。
親が相続まで保有していた場合、家賃収入は手元現預金になるため、相続税対策にもなります。
この他にも、メリット・デメリットがいくつかあり、総合的に検討する必要がございます。

今後相続時精算課税制度を利用しようと検討される際は、まずは税理士へのご相談をおすすめします。当事務所でも、相続税・贈与税を総合的に判断した試算をおこなっておりますのでお気軽にご相談ください。

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この記事を書いたコラムニスト

磯貝 慎一郎 (イソガイシンイチロウ)

税理士

平成14年3月に開業。
スピーディーなアドバイスとサービスをご提供します。
開業支援 金融機関対策 相続税対策 税務調査対策を得意としています。

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