成年後見と民事信託 ~高齢社会に対応した財産管理の手法~

執筆者プロフィール
北詰健太郎(きたづめ けんたろう)
司法書士法人F&Partners
司法書士 同志社大学非常勤講師 
※主な著書「実践/一般社団法人・信託・活用ハンドブック」(清文社)ほか多数


皆様、こんにちは。そして明けましておめでとうございます。

 この度「介護の三ツ星コンシェルジュ」のコラムを担当させて頂く事になりました司法書士法人F&Partnersグループです。
 今回は弊グループでも特に多数の著書を持つ司法書士の北詰が執筆させて頂きました。北詰は今回のテーマである「民事信託」の手続についての経験を多数持っています。
 「信託」と言う言葉にはなかなか馴染みのない方もいらっしゃることと思いますが、知識として加えて頂くといつか役立ちます。はじめて「信託」という言葉を目にする方向けに、高齢者の財産管理手法である「成年後見制度」と「民事信託」を比較しながら、できるだけ分かりやすく解説します。

 成年後見と民事信託   ~高齢社会に対応した財産管理の手法~

超高齢社会の到来と財産管理

日本はいま、国民の4人の1人が65歳以上という超高齢社会を迎えています。厚生労働省の発表によれば、2025(平成37)年には700 万人、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症となるともいわれています。
認知症になれば、自己の財産管理が困難となりますが、そうした方々を支える制度として「成年後見」と「民事信託」という制度が広がっています。

成年後見制度とは

成年後見制度とは、精神上の障害 (認知症、知的障害など)により判断能力が十分でない方のために、家庭裁判所に申し立てて「成年後見人」という、その方を支援してくれる人を選任してもらう制度です。
成年後見人が選任されると、認知症等になられた方の財産管理(日々の支払、お金の入出金)や契約ごとは、成年後見人が本人に代わって行うことになります。

民事信託とは

民事信託とは、例えば、親が普段から身の回りの世話をしてくれる長男に、「自分の財産を、私の生活補助のために使ってほしい。」などと一定の目的を定めて財産を託し、管理、運用、処分をしてもらう制度です。
信託をしない場合、預金口座や不動産などの財産は親の名義のままですので、親のためにと長男が預金の引きだしをする場合や、使用していない不動産を賃貸に出すなどの場合においても、色々とハードルがあります。
信託をすれば財産の名義が実際の管理している長男に移るため、財産を預かった長男としては管理が格段にしやすくなります。信託を受けた長男は、親が希望した目的に従って財産を管理します。
財産を預ける人を「委託者」、預かる人を「受託者」、信託から利益を受ける人を「受益者」といいます。先ほどの例では、財産をあずけた親が「委託者」兼「受益者」であり、長男が「受託者」となります。

制度の利用方法

(1)成年後見制度
成年後見制度は、家庭裁判所に申し立てを行って、家庭裁判所が必要と判断した場合に成年後見人が選任されます。本人の家族が成年後見人となること希望することもできますが、最近は弁護士、司法書士等の専門家から選任される傾向があります。
成年後見人に就任した弁護士、司法書士は家庭裁判所の管理のもと、しっかりと「成年被後見人」となられた方の財産の管理等を行っていきます。
しかし、成年後見制度を利用する方のなかには、「見ず知らずの人に成年後見人になってもらうのは不安」と思われる方もいらっしゃいます。その場合は、「任意後見契約」といって、御自身が元気なうちに「この人に成年後見人になってほしい」という方と、事前に契約を結んでおくとよいでしょう。
 
(2)民事信託
民事信託制度は、契約書を作成して、預貯金や不動産の名義を変更すれば利用することができます。原則として裁判所等の公的機関の関与はなく、契約書の内容も自由度が高いため、財産管理のやり方について、ご本人の希望が通りやすいといえます。
契約書の作成は、法律や税務の観点から深く検討する必要があるため、弁護士、司法書士、税理士等の専門家に相談するのをお勧めします。

~おわりに~

成年後見制度と民事信託制度は、超高齢社会への有効な対応策となりえます。ご自身がお元気なうちに、検討を開始するのが大切です。
                                                                         以上
                                                                                                                                                       
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