老人ホーム選びの知識

「看取り迄します」は本当?看取り迄してくれる老人ホームの見分け方5選

看取り迄してくれる介護施設の種類は?

高齢者住宅にはさまざまな種類があります。特養、老健、介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サ高住・・・・・・
『看取りまでしてくれる』かどうか、という点だけで言えば、特養はもちろん、介護付き有料老人ホーム、サ高住等さまざまな種類のホームで看取りを行っています。

ただ、「特養なら看取り迄してくれるはず」と言った種類による分類はありません。
「看取り迄します」の中味に関しては事業者により異なります。
ただ、各ホームのルールについて、重要事項説明書や入居契約書には記載されていませんので必ずヒアリングが必要です。

肝心なのは、ご入居者およびそのご家族が「自分あるいは入居するご家族が最期をどうしたいのか」という考え方を持つこと。
都度の状態変化に応じて、希望を叶えてくれるのか、より希望に近い対応を取ってくれるかを入居される前、あるいは入居後の状態の変化に応じてに見定めることが重要です。

事前にホームへ見学や相談に行くと、ほとんどのホームが「介護度が重くなっても末期になっても、そのまま住み続けられます」と答えます。しかし、そう説明を受けて入居をした後、医療依存度が高まり、「この状態では当ホームでは無理なので退去をお願いします」と告げられ、別のホームへ移ることになってしまうケースが数多く見受けられます。

それでは、どんなホームが本当に看取り迄行ってくれるホームなのか?今回は有料老人ホーム、サ高住に関して、本当に看取り迄行ってくれるホームの見分け方を説明していきます。

訪問診療を行ってくれる医療機関が"本物"か?

有料老人ホームやサ高住に入居すると、ホーム側から必ず訪問診療をしてくれる医療機関を紹介されます。
ご高齢者は何らかの持病を持っていますので、持病以外にも急な発熱や、骨折、誤嚥性肺炎等もおこりますので、訪問診療医はそういった場合駆けつけてくれる頼りになる存在です。

実は、ホームが紹介してくれる訪問診療医がいくつあるかも大変重要。
「この医療機関でないとダメです」と1か所しか紹介しないホームならば、その時点でNG。
ご高齢者の持病に応じ、複数の医師を紹介出来る体制を取っているホームの選択をお勧めします。
また、医師とご入居者、ご家族の相性もありますので、複数の医療機関の中で何院か面談させて頂けるとなお嬉しいですね。


訪問診療医療の中で、最も重要な点は、ドクターが訪問診療に本気で取り組んでいるかどうか?
一般の開業医がアルバイト感覚で訪問診療に取り組んでいるケースも見受けられます。
こういうケースを見抜くためには、その医療機関の「体制」についてご質問ください。


数年前に国会でも問題になっていましたが、「医療コーディーネーター」なる存在が、ホームと医療機関の中に挟まって、やり取りを行っている場合があります。
こういう医療機関はNG。
まずは、何かあった場合に備え、24時間365日体制で、医師もしくは医療機関が雇用している看護師と直接連絡が取れる体制を敷いている医療機関かどうかは必ずご確認下さい。

ホームの看護師体制

看取りを行うには、24時間の看護体制を取っているかも大切。
24時間看護師体制といっても、24時間看護師が常駐している必要はありません。


大切なのは、「ホームもしくはホームを運営している会社が運営する訪問看護ステーションが直接雇用している看護師」が24時間体制を取っているかです。
夜間はオンコール体制でも構いません。

要は、日頃から看取りケアを行い、ご入居者の状況をしっかり把握している看護師が緊急時に対応出来る体制を取っているかどうかが大切なのです。

ホームの看取り経験

年間に死亡して退去した入居者のうち、施設内で看取られた人がどれほどいるか。これを看取り率と呼びますが、ホーム内で年間6名以上を看取っているホームなら、施設内で責任もって看取っていると判断できます。

2か月に1人看取っているわけですから、年間を通じて常時看取りを行ったいると考えていいでしょう
看取り率」に関してはホームに聞けば教えてもらえますし、「重要事項説明書」にも記載されています。

また、ホームの司令塔である施設長の看取り経験も大切です。
入居前には、施設長の看取りに関する考え方、経験を必ずお伺い下さい。
看取りに対する施設長に思いや経験を聞き取ることにより、安心してご家族を任せられるホームかどうかをご判断ください。

最期に家族が立ち会えるか?

臨終が迫った時家族がご入居者の傍にいられるかどうかも大切。
入居前に「看取り時に家族は泊まれますか?」の質問は必ず行ってください

ホーム内に家族が宿泊可能な準備を整えているか、入居者の居室に家族が泊まれるかなどの点は事前に確認しておくべき点です

関西エリアでは、ほとんどの有料老人ホーム、サ高住が立ち会える体制を整えています。
むしろ、これに関して「NO」と言ったホームについては、看取りについてはNGのホームと言ってよいでしょう。

看取りケアプランや看取り勉強会を普段から実施しているか?

終末期医療や緩和ケアのやり方について取り決める看取り専用のケアプランがホームに存在しているかも確認すべきポイント。
看取りケアプランのサンプルを提示できるホームは、看取りに真剣に取り組んでいるホームです
こちらの有無についても確認しましょう。

また、ホーム内で定期的に看取りに関する勉強会を実施しているかどうかも大切。
看取り経験の多い看護師が主導し、介護職に対し勉強会を行っているホームは安心です。


皆様、ご理解頂けましたかでしょうか?
看取りの可否はホーム選びにとってとても大切。「介護施設はどこでも看取りができるもの」と考えていては、入居後に後悔します。
今回のコラムの内容もご参考にして頂きホーム選びを行われることをお勧めします。

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この記事を書いたコラムニスト

荒牧誠也 (アラマキセイヤ)

介護の三ツ星コンシェルジュ編集長

株式会社ベイシス 常務取締役 事業本部長
1964年 大阪府大阪市生まれ
1988年 関西電力㈱入社。介護事業子会社 ㈱かんでんジョイライフや医療関係子会社 ㈱かんでん在宅医療サービスの設立や運営に従事。関西電力グループのメデイカル・ヘルスケア事業の企画業務や㈱京阪ライフサポートのM&Aに従事後退職。
2017年 関西電力㈱を退社。㈱ベイシスの取締役シニア事業部長に就任。

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