介護業界 嚙み砕き知識・ニュース

人材不足で採用基準を引き下げ その判断は職場にとってプラスか?マイナスか?

介護業界の人材不足は相変わらず深刻で、「人材確保のために採用基準を下げざるを得ない」という介護事業者も少なくありません。

しかし、その結果として介護現場では様々な問題が起こっているようです。今回は、人材不足やそれに伴う採用基準の引き下げなどが原因で生じた様々な出来事を紹介します。

管理者が毎朝スタッフをお迎え

某地方都市の社会福祉法人が運営するデイサービスの1日は「お迎え」から始まります。
「え?デイサービスなら、1日の初めにお迎えがあるのは当たり前でしょう?」
そう思うのは当然です。しかし、このデイが迎えに行くのは利用者ではありません。そこで働くスタッフです。

人材不足に悩むこの法人では、これまで対象にしていなかった、地元のいわゆる「低学力校」からも卒業生を受け入れることにしました。
「漢字が書けない、敬語が使えないなど、ある程度の問題は織り込み済みでした」と理事長はその覚悟を語ります。しかし、実態はそれ以上にひどい物でした。
というのも、ここの卒業生の多くが「毎日ちゃんと起き、決まった時間に決まった場所に行く」という生活習慣が全く身についていなかったのです。通常、この習慣は学校に通えば身に付きます。本人は「もっと寝ていたい」「今日は面倒くさい」と思っても、普通の家庭であれば、親が「もう起きる時間だ」と声をかけて登校を促します。

しかし、低学力校の保護者は、子どもに無関心なことが多く、朝起きてこなくても気にかけません。これでは本人は「朝は寝たいだけ寝ていて構わない」という思考になります。当然、就職しても時間通りに出勤してきません。無断欠勤も頻繁にします。理由を尋ねても「眠たかった」「億劫だった」「雨が降っていた」「ガソリンが無かった」など自分勝手なものばかり。そもそも「遅刻や無断欠勤をしてはいけない」という常識すら持ち合わせていません。

やがて、このデイでは、毎朝管理者が車で複数の社員の自宅まで迎えに行くことが日課になりました。管理者自ら「起きたか」とモーニングコールもします。しかも「二度寝をしないように」と、家に着く直前での2回目のコールが欠かせないそうです。

実はリアル?「任侠ヘルパー」

少し前ですが、暴力団員が介護現場で働く「任侠ヘルパー」というドラマがありました。荒唐無稽な設定ですが、実はあながち嘘ともいえないようです。

ある大都市の介護事業所では、最近「元暴力団構成員だった」という人が職を求めて応募してくることが多いそうです。近年はいわゆる「シノギ」の口が少なくなり、生活に困る構成員も珍しくありません。「これを機に足を洗おう。介護なら人材不足だし雇ってくれるだろう」というのが理由のようです。

介護事業者側にしても、現職の構成員ならともかく、本人が暴力団との関係をきっぱりと断ち、真面目に働こうとしているのであれば、断る理由はありません。介護業界では貴重な男性ということもあり、実際に就労しているケースは多いそうです。

しかし、困ったのは身体の入れ墨。介護現場では入浴介助時など腕や脚を露出しなければならないケースもあり、そのときに入れ墨がみえることもあります。そのため、できる業務に限りがあるのが悩みだそうです。

夜勤に入った4人の関係は・・・

職場での出会いが恋愛に発展するのは介護業界でも珍しいことではありません。

ある有料老人ホームでは、1人の男性スタッフが職場恋愛に熱心と言いますか、異性関係にだらしがないと言いますか、入れ替わり立ち替わりで常に職場の女性スタッフと恋愛関係にありました。過去には「二股・三股をかけられた」などで女性スタッフがメンタル不調になり、退職・休職することも何回かあり、会社としてもこの男性を転勤させるなど何らかの対応が必要と考えていましたが、人材不足もあり抜本的な対策を打てずにいました。

さて、そこに新たなホーム長が転勤でやってきました。この会社ではシフト作成はホーム長の仕事です。まだ赴任先のホームの事情に疎い新ホーム長は、こともあろうか知らずに「この男性・今の彼女・前の彼女・元の彼女」の4人で夜勤シフトを組んでしまったそうです。この日の休憩時などの様子はどんな感じだったのでしょうか・・・

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この記事を書いたコラムニスト

西岡 一紀 (ニシオカ カズノリ)

なにわ最速ライター

介護・不動産・旅行

介護系業界紙を中心に21年間新聞記者をつとめ、現在はフリーランスです。
立ち位置としてじ手は最もキャリアが長い介護系が中心で、企業のホームページ等に掲載する各種コラム、社長や社員インタビューのほか、企業のリリース作成代行、社内報の作成支援などを行っています。

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