医療と薬について

何故、予防医療に取り組んだのか?

変わり者の医者です。

今日からコラムを書くことになった岡山の金城です。
まずは簡単な自己紹介から。
 
16年間の大学病院での臨床経験のあと21年前に脱・現代医療をした変わり者の医者です。
 
岡山大学医学部を卒業して医者になってから37年目になります。
前半の16年は岡山大学付属病院でバリバリの臨床医をしていました。1996年に大学病院を辞めてから現在までの21年間は予防医療の実践をしています。
後半の21年間に関しては、これからゆっくりお伝えしていることになりますが、そもそも、なんで大学病院を辞めて予防医療の道にはいったかのか?このあたりのお話からしていきたいと思います。
 

大学病院麻酔科での勤務医時代。

私が働いていた麻酔科は手術の麻酔だけではなく、集中治療室(ICU)での重症患者の全身管理をしていました。
・大きな事故や大きな手術のあとで、自分ではうまく呼吸ができない患者に人工呼吸器をつけて呼吸をサポートする呼吸管理、
・肺炎や敗血症などの感染症に対して抗生物質や免疫グロブリンなどの点滴をして菌やウィルスをやっつけてしまおうという感染症対策、心臓が弱っている患者の循環サポート、
・心臓の手術のあとで自分の心臓がうまく動かない患者に人工心臓(20数年前の当時は大きな器械でした)をつけて生かしておくことができるところまできていました。

最先端の医療に携わりながら、私がどう考えていたかというと
「我々に不可能は無い!」と。
死にそうな患者さんでも「最先端の治療技術で生かしておくことができる。」そう考えていました。

自分の限界を知って…。

そして、この最先端の医療に携わりながら、集中治療室から無事退室(これも大変なこと)できた患者さんたちが病室にもどって、その後は自宅に帰って社会復帰しているとばかり思っていたのです。

でも、私の大きな勘違いでした。

病棟の責任者(麻酔科の病棟医長と呼びます)として、集中治療室から無事退室したはずの患者が、その後無事自宅に帰れていないことに気がついたのです。
集中治療室を運良く出たとしても、病棟での治療が続き、最終的に自宅に帰って日常生活ができる確率はとても低いということを知りました。

正直、衝撃でした。
集中治療室での我々プロの医者や看護師やパラメディカルによる最先端技術による治療、24時間体制での管理。

それでも救えない。

自分がしていることの限界を強く感じたのは、なんと医者になって10年を超えてからでした。
 

アメリカ留学時に予防医療と出会って。

私に予防医療を伝えてくれたのはアメリカの友人の医者でした。

「金城さぁ。お前がいくら頑張っても現代医療では根本的な意味でなかなか患者を救えないんだよ。」

彼は1985年から2年間、私がニューヨークにリサーチフェローという研究者として留学していたとき、家族ぐるみで世話になった、とても優秀な医者でした。
「確かに彼が言う事にも一理ある。」と感じたものの、最先端の医療に取り組んでいる私にとって
「予防医療とは何?」
「わたしには縁のないもの」
というのが正直なところで、彼がせっかく置いていった文献や本も読まれずに自宅の机の上に積まれていました。

突然の転機。

転機は突然やってきました。ふとしたきっかけである文献を読んだのです。
理由は特になく、机の片付けをしているときに時間があったから。
読み始めてその内容に強烈なインパクトを受けました。

なんと西洋医学発祥の国、オランダやドイツやアメリカでは30年(23年前のことなので今からは50年近く前)近く前から国策として予防医療に取り組んでいる。

「なぜ?」「ほんとかな?」と言うのが私の感想。

そこから、本気で予防医療について調べ始めました。
そして、私が大学病院で取り組んでいる現代医療はいわゆる「早期発見」「早期治療」という、病気になったものを見つけて、薬なり手術なりでその症状(異常)を抑える対症療法であり、根本的な解決になっていないことを知ったのです。
 
現代医療に人生をかけてきた私にとっては衝撃的な事実でした。
 
(次回に続く…)

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この記事を書いたコラムニスト

金城 実 (キンジョウミノル)

一般社団法人 日本予防医療協会 代表理事

1981年 岡山大学医学部卒業、麻酔科入局
1996年 大学病院から独立、予防医療開始
2002年 病院での“医者がすすめるメディカルダイエット” 3つの提案  
2003年 ドクターダイエットとして開業             
2004年 予防医学セルフチェックの開発・展開
2014年 日本予防医療協会設立

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