高齢者の病気・疾患

脂質異常症シリーズ5. 脂質異常症の予防と治療(薬物療法編)

「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。
今回は脂質異常症の予防と治療(薬物療法編)です。
医学的な話が多くなりがちな分野なので、医学的な正しさよりも分かりやすさ優先でやっていこうと思います。

脂質異常症の薬は種類も多く、全部を説明するのはなかなか難しいのですが、まず大切なのは「薬物療法は生活習慣の改善に取り組んでも、脂質の管理ができない時」に考慮するという点です。
なので、薬を飲めばそれでオッケーなのではなく、薬を飲みながらも生活習慣の改善はしっかり取り組む必要があります。

脂質異常症の治療薬の代表:スタチン

脂質異常症の薬で、最も用いられている薬がスタチンになります。
このスタチンという薬は、以前ご紹介した悪玉コレステロールであるLDLコレステロールを低下させる作用が強い薬です。
これは、細胞の中でコレステロールを生成する酵素の作用を邪魔することで、コレステロールができなくなることで効果を発揮します。

また、スタチンは善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増加させる作用もあります。
他にも色々な脂質異常症の薬はあるのですが、このスタチンと組み合わせることが多いです。
現在の脂質異常症の治療薬の中心になっているので、是非スタチンのことを覚えておきましょう。

薬の選び方

スタチンを代表として様々な薬のある脂質異常症ですが、どのように薬を選ぶのでしょうか?
それは患者さんごとのコレステロールの状態によって使い分けます。
脂質異常症の治療では、特にLDLコレステロールを目標値よりも低下させることが重視されます。
そのため、LDLコレステロールの低下する具合と、そのほかのコレステロールの状況に合わせて薬を選びます。

脂質異常症治療薬の注意点

脂質異常症の治療薬は、いくつか注意が必要なものがあります。
特に、今回ご紹介したスタチンは筋肉に刺激となることが知られています。
そのため飲み始めた頃に、筋肉痛などがあった場合は、処方してくれたかかりつけの先生に相談しましょう。
脂質異常症の薬に限らず、薬には飲み合わせなどによっては望ましくない副作用が生じる場合もあります。
生活習慣病の薬は複数内服することが多いので、処方した医師の指導に従っていただくことは非常に大切です。

まとめ

前回と今回で、脂質異常症の予防と治療についてお話ししました。
次回はいよいよ脂質異常症シリーズの最終回になります。
最後までお付き合いください。

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この記事を書いたコラムニスト

柏木 秀行 (カシワギ ヒデユキ)

医師・社会福祉士・経営学修士

1981年広島県呉市に生まれる。筑波大学医学専門学群を卒業後、福岡の飯塚病院に初期研修医として就職。救急、感染症、集中治療などを中心に研修を行った。地域医療を支える小規模病院に出向した際、医療経営と地域のヘルスケアシステムづくりをできる人材になりたいと感じ、グロービス経営大学院で経営学修士を取得。また、社会保障制度のあるべき姿の観点を、研修医教育に取り入れたいと感じ社会福祉士を取得し育成に取り組む。現在は飯塚病院緩和ケア科部長として部門の運営と教育を行いながら、診療所の経営コンサルトをオフタイムに兼任。緩和医療専門医、総合内科専門医、プライマリ・ケア認定医・指導医。

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