住み替えの要望・条件を整理しましょう

思い付くだけの要望を挙げてみる

どんなところに住み替えようかと考えるとき、自分が送りたい暮らしを描いていくと、あれもこれもとたくさんの希望条件が思い浮かんできます。

駅から近くて交通の便が良いこと、緑豊かで静かな環境、お店や銀行、公共窓口等が近くにあって生活しやすい立地、建物は綺麗で明るい雰囲気のところ、館内にはくつろげる場所やサークル活動等が楽しめる多目的なスぺースが広く作られ、大浴場があって毎日ゆったりと入浴できること、居室は日当たりが良く、必要な家具などが並べやすい間取り等々。

また立地やハード面に加わえ、美味しい食事、気配りのあるサービス、手厚い介護、確かな医療連携などサービス面の要望もいろいろと出てくるでしょう。
他にもイベントやレクリェーション等が活発で賑やかな雰囲気であることや、病院のような専門的なリハビリが受けられるなど、個々の状況によってさらに様々な要望が挙がってきます。

欲張りは失敗のもと

でもここで注意しなければならないのは、現実にはすべての要望が叶うところはないということ。
要望を全部叶えようと次から次へと情報を集めても、無いものねだりを続けていては、いつになっても自分に最適な住み替え先を見つけることはできません。

入居を急がないお元気な人や要介護でも軽度の人は、少しでも多くの要望を叶えたいが故に、待っていればもっと良いところが見つかるだろうと、検討を先延ばしにするケースがよく見られます。
ですが、高齢期は身体的にも精神的にもいつ急な変化が起こるかわかりません。

元気なうちに住み替えて、あれもこれもと新しい生活を楽しみにしていた人が、急な病気やけがで要介護状態となり、思い描いていた暮らしが送れなくなることもあるのです。
 

優先順位をつけて、要望リストを作成

そんな失敗をしないためには、現実をしっかり見つめて自分の住み替え適齢期を見定め、検討する中で一番最適な住まいを納得して選ぶことが大切です。

そこで次のステップとして、要望条件に優先順位をつけていきます。
まずは住み替えの主目的ともいえる、必ず叶えるべき条件をトップに置き、上位に外せない大切な要望を並べます。次に是非こうあって欲しいと思うこと、さらにできれば叶えたいレベルの項目を並べ、そしてその後にはあったらいいなと思う程度の要望を付け加えていきます。

このような順で要望リストを作っておくと、実際に現地を見学する際にチェックすべき項目が明らかになって、検討がスムーズに進められます。
また、複数の住まいを比較検討するときには比較用のチェックリストを作成し、適う項目に〇△×を書きこんでいくだけで、優先順位の高い要望がどれくらい叶うかを比べることができて、選ぶべき住まいが見つけやすくなります。

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この記事を書いたコラムニスト

岡本弘子 (オカモトヒロコ)

シニアの暮らし研究所 代表 高齢者住宅アドバイザー

住宅メーカーで生活研究に従事した後、2004年から高齢者住宅の紹介センターで1万件以上の入居相談に対応。新聞・情報誌等の取材や執筆をはじめ、年200回以上の高齢者住宅セミナーで講演。常に利用者・入居者視点に立ち、高齢者住宅およびシニア向け商品・サービス企画開発への助言や営業支援に努めている。2012年に開設した「岡本弘子の居相談室」では、徹底した対面相談で100%入居者本位の住まい選びをサポートする。2015年1月に一般社団法人日本シニア住宅相談員協会を設立し、代表理事を務めながら、資格認定研修講師としてシニア住宅相談員の育成にも注力している。消費生活アドバイザー、福祉住環境コーディネーター等

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