介護保険制度について

『精神科病院』と『医療保護入院』②~弁護士の視点から~

『精神科病院』と『医療保護入院』①~弁護士の視点から~(掲載日:2018年2月13日)の記事を掲載し、実際に入院中の方や放送局の方から問い合わせを受け、多くの方に関心を持っていただきました。この記事をお読みいただき、誠にありがとうございます。
 
「医療保護入院」という言葉をはじめて知っていただいたかもしれませんし、あるいは社会の中にある課題を知っていただいたかもしれません。続編として、本記事を掲載させていただきます。

医療保護入院とは

医療保護入院は、強制入院の一形態であり、日本の精神科病院には約28.4万人が入院しており、そのうち13万人(約46%)が医療保護入院となっています(2017年6月30日時点)。

医療保護入院の問題点

 医療保護入院は、本人の意思に反して強制入院であるため、入院中の方の権利擁護という観点から問題があるとともに、たった1名の精神保健指定医が「医療及び保護の必要性」という曖昧な要件で判断している点でも大きな問題があります。
また、家族の過重な負担という点でも大きな問題点を抱えています。すなわち、2013年精神保健福祉法改正では、保護者制度が廃止されたものの、それに代わって「家族等の同意」が必要とされ、また、民法714条(責任無能力者の監督義務者等の責任)が見直されることなく、存在しており、家族の過重な負担は何も変わっていません。
この家族の過重の負担が社会的入院を生み出し、結果として精神科病院に入院中の方の権利を制約するとともに、家族に対して大きな苦しみを与えています。

変わらない原因

医療保護入院は、たくさんの問題点を抱えているにもかかわらず、日本では、強制入院である医療保護入院が安易に利用されているという現状が変わりません。
この現状には、①精神科病院に入院中の方のための権利擁護システムが不十分であること、②精神科病院の密室性、閉鎖性が解消されていないこと、③精神障害や精神疾患に対する差別と偏見が解消されていないことという原因が存在します。
 

原因を解決するためには?

私は、弁護士として、また、認定NPO法人大阪精神医療人権センターの理事として、この原因の解決に向けて、精神科病院に入院中の方の権利擁護活動を実践しています。
 
 認定NPO法人大阪精神医療人権センターでは、①日本の精神医療の現状と課題、②大阪精神医療人権センターの活動内容や③活動への参加方法を、より多くの人たちに伝えるために、以下のとおり、活動説明会を開催します。ご興味がある方は是非、ご参加ください。
 
日 時:2018年6月7日(木)19:00~20:30
会 場:AP大阪梅田東 日本生命ビル5階(大阪市北区堂山町3-3 日本生命梅田ビル5F)
内 容:
①  日本の精神医療の現状と課題
②  大阪精神医療人権センターが取り組んでいること(活動内容)
③  活動への参加方法
 
申込み:要(https://www.psy-jinken-osaka.org/archives/saishin/2076/)
 
*上記URLから、お申し込みください。
 
参加費:無料

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この記事を書いたコラムニスト

細井 大輔 (ホソイ ダイスケ)

かける弁護士事務所 弁護士

2007年9月に弁護士登録をして以来、東京と大阪で執務してまいりました。
東京では、M&A・業務提携・パテントプール等の運営を含む知財取引案件・外資系企業やIT企業を中心とする企業法務を中心に取組み、この経験を活かして、大阪では事業再生や中小・ベンチャー企業の支援等新たな分野にも積極的に取り組んでいます。

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