介護で会社をやめないために

初めて介護する人へ

介護は始まりが一番辛い。何をすれば良いか?

ある日突然、家族が倒れて病院に運ばれる…
離れて暮らす親の場合もあれば、ともに暮らす伴侶の場合もあります。

頭の中は真っ白。
こんなことは想定外です。
誰も、このような立場になるまで、介護や医療のことについて
自分のこととして考えることはありません。
予備知識もなく、情報もなく、当事者になってしまったことにうろたえます。

これは、特別なことではなく、誰にでも起こり得ることです。
しかも今や病院の体制は、ゆっくり患者や家族に寄り添えるものではなく
入院から数日の内に「退院について相談したい」と言われます。
まだ、何も受け入れることができない家族に対して
退院後の対策を考えることを要求する病院スタッフに
不信感を持っても無理はありません。

こんな時、一体どうしたら良いのでしょう?
 

自分で調べますか?

ネットの情報は、ある程度知識のある人には有効ですが、
何も知らない状態では、余計混乱します。

まずは、落ち着いて退院に向けて準備をしましょう。
病院の相談室(地域医療連携室、退院支援室、患者支援室等)で
いつ、どんな状態で退院するのか?
それまでにどんな状態になると予想されるか?を尋ねたら、
自宅での生活状況を詳しく説明して、生活が可能かどうかを、
相談員とともに検討します。

その後の生活に必要なことを提案するのが相談員の役割です。
介護保険によるサービスだったり、介護用品だったり
転院によるリハビリテーションだったりします。
 

そして、大切なことは、自分にできることとできないことを
明確にすることです。

ほとんどの人はこういう緊急事態に全力を尽くそうとします。
しかし、介護や在宅療養というこれまでと違う事態は
これからずっと続くことです。
全力で何かをすれば、すぐに息切れがしてしまいます。
無理を続けた介護は、いつか介護する方も介護を受ける方も
不幸にしてしまいます。
 

慌てず、頑張りすぎず、できることを

全力を出しきらないで、できることを考えましょう。
自宅の状況、手助けしてくれる人、ご近所や友人を思い浮かべます。

病院にいる間は、スタッフに任せて
自宅での生活の準備をしましょう。
在宅介護の準備に時間がかかるなら、
別の病院に転院することも一つの方法です。

慌てず、今頼れる人は誰か?を知って、
できる範囲のことをするだけにとどめましょう。
「家族のために、無理をしない」
そのことに罪悪感を持たないでください。
介護が始まってからでも遅くありません。
余裕を持って介護するためにも、
介護について前向きに学んで欲しいと思います。

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この記事を書いたコラムニスト

柴本 美佐代 (シバモト ミサヨ)

一般社団法人日本エルダーライフ協会 代表理事

節度ある介入を意味する新たなお節介で介護者に役立つ知識と情報を届け
介護される人も介護する人も幸せな介護を目指して「お節介士」を養成中。
代表お節介士として講演、新聞等へのコラム連載、
そして介護者と要介護者をモデルにしたファッションショーもプロデュース。
大阪堺市のお節介やさかいプロジェクトでは「さかいお節介士」の養成と
活動の支援を行なっています。

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