相続・終活の事前準備

相続税対策における暦年贈与の活用法①

暦年贈与は最も簡単な相続対策の手法です

相続税対策に生前贈与は有効だ!とお聞きになったことがある方が多いのではないでしょうか。

まさにその通りです!

相続税対策において生前贈与、特に年間110万円の非課税枠を使った預貯金の暦年贈与は、専門家の手を借りなくてもできる最も簡単な相続対策と言えるでしょう。
 

贈与税(暦年贈与)の計算方法

暦年贈与における贈与税の計算方法を確認しておきましょう。
贈与税の計算は、20歳以上の方がお父さんやお爺ちゃんから受ける贈与とそれ以外の贈与では税率が異なります。
コラムの末尾に国税庁のホームページのリンクがありますので、税率などはこちらでご確認下さい。

贈与税の計算例は以下の通りです。
 
【計算例】子(20歳以上)と子(20歳未満)に、それぞれ500万円贈与した場合
子(20歳以上):(500万円-110万円)×15%-10万円=48.5万円
子(20歳以上):(500万円-110万円)×20%-25万円=53万円

贈与税負担<相続税負担となる金額の贈与であれば節税が可能です。

先程の計算例で考えてみましょう。

子2人への合計1,000万円の贈与に対して約100万円の贈与税ですので、約10%の贈与税の負担です。
単純な話ですが、将来の相続税の負担が10%を超えていれば、節税効果があると言えます。
すなわち、贈与税負担<相続税負担となる金額の贈与が有効だということです。

数字を使って整理してみましょう。

お持ちの財産に対して、15%の相続税がかかる人がいるとします。
この方が110万円を贈与すると、相続税は16.5万円減少します(110万円×15%)。
これに対して贈与税はかからないので、税金が16.5万円減少したことになります。

贈与税がかからないという理由で110万円の贈与をしていませんか?

贈与税がかからない110万円の贈与を行っている方も多いと思います。
実は110万円より多い金額を贈与したほうが節税額が大きくなるケースもあります。
 
先程のケースですと、お持ちの財産に対して15%の相続税がかかる人が110万円の贈与を行った場合、税金が16.5万円減少しました。

では、310万円を贈与した場合は、どうなるのでしょうか?
減少する相続税は、310万円×15%の46.5万円です。
一方、贈与税は20万円(※)となりますので、差し引きすると26.5万円(46.5万円-20万円)税金が少なくなっています。
(※)(310万円-110万円)×10%-0円=20万円

比較をしてみると、110万円の贈与より、310万円の贈与の方が10万円税金が多く減っていることがわかります。

まずは相続税の試算から始めましょう!

これまで暦年贈与による相続税対策の仕組みをお話してきました。

暦年贈与を考えるにあたっては、相続税の試算から始めましょう!
相続税がいくらかかるのかを把握しなければ、最適な贈与額を把握することができません。

まずは現状を把握することが大切です。

次回も「相続対策における暦年贈与の活用法」について、記載させていただきます。
ご興味がありましたら、是非ご覧ください。

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この記事を書いたコラムニスト

辻本雅俊 (ツジモト マサトシ)

税理士

昭和62年 大阪府吹田市生まれ
平成23年 税理士法人 山田&パートナーズ(東京本部)入社。
土地資産家等の富裕層に対する相続対策及び相続税申告等、企業オーナーに対する事業承継、グループ組織再編、M&A業務に従事。
平成28年 大阪府大阪市中央区にて独立。
前職での業務経験を生かし、相続・事業承継(M&Aを含む)を専門に、様々なお客様のお悩みに対応。

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